「座る」 勉強会

先月、木の仕事の会の講習会、「座る」勉強会へいってきました。

椅子は道具である、
道具とは目的をもったものである。
先生の話はそこから始まりました。
もうその時点で、僕の心にぐっときました!

では、写真もあわせてレポートします。

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日本の現在の車椅子。ほぼ60年前の設計そのまま。(東京オリンピック!)折りたたみであるのは、ベトナム戦争時期に、世界で一番製造された、米製を見本にした為。それが未だにJIS規格品として、使われています。
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独製。背骨の自然なS字ラインをサポートできるよう、ベルトで調整できるようになっています。また、この背もたれの角度調節の支点は、座面より少し上がった所にあります。少しの事ですが、随所に目的を持った設計が施されているのです。日本製みたいに、電気仕掛けのびっくり箱なんてひとつもありません。
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独製。肩から自然に手を下ろした位置が、車軸になります。(日本のものは後退気味)そのことで、利用者が無理無くご自身で、動かす事が出来ます。つまり、ドイツの車椅子は、座る人が自分で移動することを前途に、設計されているのです。それは、足のステップのポジション、肘置きの幅、椅子からベット、車のシートなどへの乗り移りにも言えます。
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左が独製、右が日本製。欧米人の体格を考えると非常にコンパクト。
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200年ほど昔の、日本と欧米の車椅子、そして現在の物。左の日本のものは、おしどり右京捕物車のあれですね。(もしくはしとしとピッちゃん!)欧米のそれが、立った姿勢であるのは、背の自然なS字ラインを保つため。それこそが、2足歩行の人類に取って、一番腰に負担の少ない姿勢であるため。僕の参考書でも、人体工学の項では、まず最初に、座るという行為は、けっして楽な姿勢ではないとの、記述があります。重たい頭部を支える事は、座骨をいかに立った状態と同じにするかにかかっているのです。先生は、講義の中でそうしたことを、要点を押さえて説明してくれました。いくつか教えていただいた事を思い出してみます。「座骨はこの模型のように、逆三角形をしています。ということは、筋肉の衰えがあれば、人体とはいとも簡単に傾いてしまうものなのです。倒れた鉢植えの花を起こすのに、花だけくいっとやる人はいませんね? つまり鎖骨が鉢なのです。ですから、座りやすい椅子とは、いかに座骨を保持出来るかにあります。つまり、背もたれの角度だけではなく、座面にこそ注目すべきです。」
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作業の目的にあわせた、座面角度の選択の体験。椅子を3脚並べ、(前足、後足にそれぞれ桟をかましたものと、そのままの物)座ってみます。前傾気味では、PC作業など、デスクワークには向いています。後退気味では、安楽性は高まります。こうした一工夫で、別注だけではなく、既製の椅子をもより目的にそった、道具に生まれ変わるものなのです。そして、万能椅子を求めること自体に、無理がある事も良く理解できます。ちょうど、スーパーカーと、軽トラを比べるようなものです。文句があったら、フェラーリに応接セット積んでみてください。
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ちょうど製作中だった注文の背板枠。これに、Dr.チェアー平田さんに生地を張ってもらいました。
(急所の座面、肘掛けの幅にも、アドバイスを活かす事ができました)
平田さん、いつもながら、急所を押さえた仕事で、良い椅子ができました。


今回の勉強会では、様々なことを確認できてとても勉強になりました。
それと同時に、椅子の奥深さを改めて感じました。

先生とお会いするのは、今回が2度目です。
昨年12月の展示会ではじめてお会いした時も、様々なアドバイスをいただきました。
(先生は、10月のJクオリア、スツール展をご覧になっていて、僕のサドルスツールを憶えてくれていたのです)
僕のお客さんが、介護用の椅子は、座る人の為のものではない。
あれは介護する人が、使いやすい椅子だと教わったはなし。
先生もその通りだ、だからこそ私は、作り手と話がしたい、
本当に、座る人にとって良い椅子を作りたいと。

一般に職人は、経験に頼ります。
結果がすべてです。
それが、自信にもなるのですが、勘違いのもとになったりもします。
自分の知っている事、経験のみを定規にしてしまいがちなのです。

知らない事を知ろうという向上心、
柔軟な気持ちを忘れないことが大事ですね。
この仕事ができなくなる時まで、そうでありたいものです。
目的を持った、使い手に寄り添う家具を作って行く事が、僕の願いです。
先生、今後ともご指南、どうぞよろしくお願いいたします。

企画、会場を提供してくれた、ブリコラージュ/城森さん、社長さま、ありがとうございました。
アラフォーになって、勉強が嬉しく感じるこのごろです。

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by kaguno-ongaku | 2009-04-14 01:33 | 夜を日につぎ, blog  

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